第1回:ちょっぴりMっ子「渋谷ヒカリエ」ちゃん/デイ タラン ボッチのビルの愛し方

第1回:ちょっぴりMっ子「渋谷ヒカリエ」ちゃん/デイ タラン ボッチのビルの愛し方

はじめまして!
私、デイ・タラン・ボッチという者です。

趣味は山遊びなどアウトドア系です。
あとはごくごく普通の妖怪でして、これといった特徴がなくてすみません……。
まぁあえて言うなら……

めちゃくちゃ大きいです。
それに全体的に紫色だしなんかドロドロもしているんです。
ちょっと引きます?

そんな私ですが、悲しいことがあります。
それは自分の大きさにあった彼女がいないってことなんです。
だってこんな大きい女の子いないでしょ?

でもね、ある日ふと気づいたんです。

大きな建物を恋人にすればいいんじゃない?と。

それからはいろいろなビルディングをハンティングしまして、

気づいたら私

たくさんの愛ビルを持つ
ビルプレイボーイとなっていたんです。

この連載では私が愛を育んだ愛ビル達を紹介しつつ、愛ビルの愛し方をレクチャーしていこうと思います。
ビルによって愛し方は十ビル十色
この連載を読んであなたもビルプレイボーイを目指してくださいね。

渋谷に佇むクールビューティー 渋谷ヒカリエ 

「さてさっそく私の愛しいビルを。
こちら」

「ヒカリエちゃんで~す。
とっても綺麗でしょ?」


「やめてください。はずかしい」


「今日はたっぷり愛してあげるね」


「人前でそんなことをいわないでください」


「皆さまこんにちは。
私ヒカリエは2012年生まれ、地下4階地上34階の渋谷っ子です」


「ねえねえ!」


「ちょっと今自己紹介を……」

「このカフェとかレストランとかギャラリーなんかがあるフロア触られるの好きだったよね……」


「あ、ちょっと……」


「川本喜八郎人形ギャラリーのところどう?」


「あん」


「あら?」

「オフィスフロア震わせてどうしたのよ 愛らしいなぁ チュ」


「ア、アイティ!」


「IT企業がたくさん入ってるみたいな声出しちゃって。
はずかしい」
 


「や、やめてください。
そんなにされたら
劇場が疼いちゃう……」


「劇場?シアターオーブのこと?」

「ここだよね?
11階から16階までを使ったミュージカル劇場。
東急シアターオーブ。

ここがいいの?」


「はうっ!」


「いいんだよ声出しちゃって!
だってミュージカルやってるんだから!中で
ほらほら!」


「あ!ひ!」

「ほらほらほら~」


「どう?地下からマカロン出ちゃいそう?」


「ああ、やめて……
そんなことされたら
出てしまう……」


「マカロン?」


「違う……」


「何が出るの?」


「いや……」


「言いなよ!」


「あう!」


「ほら!」


「ぎ……」


「ぎ?」


「ぎ……ぎ……」


「ぎ……ぎ……?」


「銀座線が出ちゃうーーーー!!!!!!」

パーン!!!


「銀座線出ちゃった!」


「ああ……!」


「おい!」


「なに銀座線出してんだよ!」


「まったく……しょうがねえな……」


「ねえほんと」


「皆さん見ました……?」


「………つうか」

「何見てんだよ!!!!!!」

「見せもんじゃねえぞ!!!!!!!!
このやろう!!!!」


「俺が守ってやっからな!!ヒカリエ!!!」


「はぁはぁ」


「(タランボッチさん最高……)」

愛ビルN0.001 渋谷ヒカリエ
愛がピークを迎えると銀座線が脇から飛び出る渋谷っ子。
Mっ気あり。

●ライター/室木おすし(オモコロライター)