【相談者:20代女性】
2年前に元彼とケンカ別れしたときに、すごく傷つけることを言ってしまいました。付き合っていたころの楽しい思い出よりも、傷つけたことばかり思い出してしまいます。最近、思い切ってちゃんと謝ろうとしたのですが、連絡先もわからなくなっていました。
心の中で謝っても後悔が消えません。このままでは先に進むこともできないので、もう思い出さなくするような方法はありませんか。
違う角度から見てみることで、世界の解釈は変わります。
迷宮脱出ガイドの咲坂好宥です。
別れ話で思いっきりぶつけてしまった感情って、きっと勢いも加わって本心よりもキツイ表現になってしまったのかもしれません。「なんであんなこと言っちゃったんだろう……」って後悔が2年も続いているなんて、さぞおつらいことと思います。
一番手っ取り早いのは直接謝ることなのでしょうが、もう連絡先がわからないとなると、それもできなくて、悶々とされていることでしょう。ただ、“あなたの思い出はあなたの解釈”だということを忘れないでください。
心理療法の概念に『リフレーミング』と呼ばれるものがあります。これは、ある枠組みで捉えられている物事を、違う枠組みで見ることを指します。
コップに半分入った水を、「半分もある」と捉えるか、「半分しかない」と捉えるかで世界がまるで変わって見える、というようなことですね。
つまり、元カレの側から見た世界は、また違うかもしれないということです。“事実”は一つですが、“解釈”された“現実”は何通りもあるんですね。
そこで、このような視点からあなたのつらい思い出を振り返ってみましょう。

傷つけられたのか傷ついたのか
まず考えていただきたいのは、“あなたが元カレを傷つけた”のか、“あなたのコトバで元カレが傷ついた”のかってコトです。
たとえば、「冷たいね」と言われて傷つくのは、自分のことを冷たいと信じている人だけです。自分を優しいと信じている人は、きょとんとするだけでしょう。もし元カレがあなたのコトバに傷ついたのだとしたら、誰よりも元カレが自分をそう見ていたってコトかもしれません。
別の言い方をすれば、元カレが感じた気持ちは、元々彼のココロに仕掛けられていた地雷だったのかもしれないってコトです。もしそうだとすれば、“あなたが元カレを傷つけた”というより、“あなたのコトバで元カレが傷ついた”という方が正確かもしれませんよね。
なぜって、その地雷を仕掛けたのはあなたではなく、元カレだからです。そして、もし地雷だったならば、それは彼がクリアすべき課題だったということです。
元カレが先に進んでいるとしたら
さて、いずれにしても当時、その元カレはあなたのコトバに傷つき激怒したかもしれません。そして、あなたのココロの中では、2年前のまま時計の針が止まってしまっていますよね。
でも、先ほどお話ししましたが、その地雷が元カレのクリアすべき課題だったとするなら、あの出来事がきっかけで、彼は課題をクリアしているかもしれないじゃないですか。
あのときの痛みや怒りがきっかけで、彼が自分の中の地雷に気づき、その意味を知ることで一歩前進できたという可能性を、あなたは否定できますか? 何がきっかけでどうなるかなんて、誰にもわからないんです。
ここまでぼくがお話してきたことは、あなたとは違う角度から見えるかもしれない現実の、ひとつの可能性です。
この現実が当たらずとも遠からずだとしたら、この2年間あなたが立ち止まり続けているうちに、元カレはかなり前に進んで行っちゃったみたいですね。あなたが留まり続けているように、相手も留まっているとは限らないのです。
そして見方を変えれば、あの別れがきっかけで、結果的にはあなたは彼の人生を前に進めたということかもしれませんよ。それなのに、あなたはずっと加害者であり続けるんですか? あなたがしがみついているここに、もう元カレはいないのに。
直接連絡を取れなくても、見方を変えることで現実の解釈を変えられることをお話ししてきました。あなたは今のままの見方を続けることもできれば、リフレーミングして違う角度から見ることもできるのです。
違う角度からあの思い出を見つめ直したら、もう一度ココロの中で元カレに、「ごめんなさい」と伝えてみてくだい。もう一つ、「ありがとう」と伝えたくなりませんか? もしそんな気持ちになれたなら、もうそろそろ出発する時間みたいです。
あなたが前を向いて進めますように!
●ライター/咲坂好宥(脱・恋愛迷宮専門家)